ここはトップセールス研究所。
大学、大学院でもほとんど研究されていない「sales(セールス)」という分野について日々日々研究を行っている。
残念ながら予算もあまりつかず、研究は「カガク博士」と助手の「ウレル君」の2人で行われている。
研究所のモットーは「世の中からインチキをなくする」である。
カガク博士はもともとマーケティング分野を研究していた。
箸休め的に「セールス・営業」の本を手に取り、読んだ時、妙な違和感を感じたのだ。
博士の研究魂に火が付き、ありとあらゆる「セールス・営業」の本を片っ端から読み倒した。
そこで、博士はある確信めいたものを感じた。
「発売されている多くのセールス・営業という分野の書籍は、古事記や日本書紀と同様に、神話的に過ぎない」ということである。
「面白おかしくは読めるが、どこに根拠があるのだ―」と叫んだほどである。
1、販売職従事者数
2010年11月と少し古いデータではあるが、
総務省の「産業,職業別就業者数」によると日本の全就業者は6,252万人とある。
この統計には直接の営業職という分野は無いのだが、販売職従事者という分野がある。
それによると854万人だそうだ。全就業者に占める割合は13.7%になる。
日本の産業別就業者数から推計すると、
法人向けに営業をしている(Business-to-business, B2B, BtoB)人の就業者数は300万人となる。
全就業者数に対する割合は約5%になるのだ。
2、職業別離職率
2008年とこちらも少し古いデータにはなるが、
厚生労働省の職業別離職率をみてみると、最も離職率が高いのはサービス職業従事者で25.3%である。
次に高いのが販売従事者で15.3%となっている。
博士は雷に打たれたような衝撃を受けるのである。
これほど多くの方々が働いているにも関わらず、なかなか定着しない販売・営業という職種。
これほど多くの書籍が出版されているということは、多くの方が販売・営業に悩んでいる証拠である。
その本の内容が「神話的」なのは問題であるのではないか。
そのようにして博士はセールス・営業分野の研究に足を踏み入れたのである。
トップセールスとは
- 突然じゃが、ウレル君よ。この研究所で働き始めて、どれぐらいになるかね。
- はい、博士。早いもので、もう1年になります。
- そうかね。そうかね。早いものだねー。
右も左も分からなかった君が、最近では少し様になってきた感もあるからね。
では、ウレル君よ、常に目標を達成するようなハイパフォーマーである営業の方々は
(※以降、トップセールスマンと呼ぶ)
なぜ、コンスタントに成果を上げていると言えるのかね?
- はい。博士。それは
・生まれてきてから、これまでの間に育まれた「資質」
・モチベーションの高さといった「やる気」
・相手の事を説得する「話し方が上手い」
といった「スキル・特性を兼ね備えている」からです。
- ほほぅ。それでは、もう一つ質問を。
トップセールスマンは育成出来るのかね?
- 正直、難しいと思います。
「話し方」は訓練すれば、上達するかもしれませんが、
「資質」「やる気」は、人間の根源的な部分に触れるからです。
- なるほど、それでは、育成することが出来ないとなると、
企業はどうしたらいいのだろう?
- 優秀な人を採用することが一番の近道だと思います。
「資質」「やる気」「話し方が上手い」の3つを兼ね備えた人を採用するのです。
- ウレル君、君にはここ1年ばかり、
僕が現場に研究に行っている間の留守番や雑務ばかりをさせてきたので、
じっくり教えることが出来なかったのだが、
ウレル君の言っている事は正しいようで、正しくないのだよ。
- えっ、そうなんですか?
- 今日は時間もあることなので、じっくりと話しをしてみたいと思うが、
ウレル君、時間は大丈夫かね?
- はい。大丈夫です。よろしくお願いします。
- それでは、まず結論から伝えよう。
確かに、集団の中で1%しか存在しないようなトップセールス中のトップセールスは
資質もそうだが、日々のたゆまぬ努力と研鑽により、
その領域に辿り着くことはそうとうな覚悟と努力、そして、時間を必要とするだろう。
しかし、パレートの法則(20:80の法則)で言われるような
上位の2割に入るように育成することは出来ると、僕は研究の結果から確信している。
謎が多かったトップセールスに科学の光を当て、分かってきたことをお伝えしよう。